テーマを分けて、ブログ一日二回更新。ひとつめはこちら、ハーブの紹介→【チャービル、カモミール】。
そしてふたつめの記事。
出荷準備中に出る野菜残渣(ざんさ)について。
収穫した野菜を出荷できる状態にキレイに仕上げていく過程でゴミとして処理される野菜の切れっぱしや黄化した葉(赤葉と言います)を残渣と言います。
そしてキレイに仕上げていく作業を、調整・掃除、などと言います。
この調整作業をしていくと、農業にあまり触れたことのない人から十中八九いただくお言葉、
「え?!もったいない!?」。
もうほぼほぼこの感想を抱かれること外れなしです。
パクチー、これは調整前、ビフォー画像。
これが…
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このようになります。
調整後。アフター画像。
このビフォーアフターしてる合間に出てきたパクチーの捨て去る葉っぱが…
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こちら。
食べられそうでしょう?
ええ、全然問題なく食べられるんですよ。
むしろ音吹の食卓に上がるような食材はだいたいこのような廃棄食材です。
では何故棄てるのか?
答えは簡単、
収穫してお店に並ぶ間に葉が黄色くなっていく、お店で野菜を手に取るお客様が手に取りにくくなる、もうこれにつきます。
非常に興味深い問題です。
音吹に手伝いに来てくれる一般の方の大半がこの作業をして「もったいない」と感じて、帰りにこの切れっぱしを持って帰ります。
音吹はあまり肥料をたくさん使いたくないので、ギリギリの量にとどめています。そうするとアクが少なく、また環境にも良いはずなのですが、葉の黄化は促進されます。
環境に良い栽培をしてると言ったところで、それはあまり考慮はされません。実際の野菜の出来栄えがどうであるか、それこそが何よりの判断基準であるのが流通や小売店の実情なのではないでしょうか。
環境に配慮した栽培方法をとっている野菜が流通しにくい事情のひとつにはこのあたりも関係してると思います。
別にこのことそのものを否定しているわけではありません。
環境に配慮しつつも良い出来栄えの野菜を育てることを目指せばいい話ですし、農家の技量の問題でもあります。
ただ、この消費者と生産現場との“当たり前”があまりに違っていること、乖離していることは問題なのやろうなぁと常々思います。
実際に現場に来た人は「もったいない!」と感じてくださいますが、お店に並んでるパックされた野菜の黄色くなった葉を見て手を伸ばそうとするお客様はなかなかいない、という現実。
ふむふむ、面白い現象ですね。
これは音吹で今出荷真っ最中のフリルレタス。
こちらも毎日収穫、調整しています。
収穫して裏返すと、こんな感じ。これをキレイにしていくと…
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これだけの葉を落とすことになりました。
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画像拡大。
食べられそうでしょ。
食べられますよ、もう普通においしいです。
だけど翌日出荷するタイミングで、もしくは店頭に並ぶタイミングが二日後になるならば二日後に、
葉が黄色くなっていないことをはじめとして収穫時から野菜が劣化しないように考慮して出荷作業を行わないといけません。
こうした出荷作業の過程で出る野菜の残渣。
農家にとっては当たり前のような現実は消費者の方にとっては当たり前ではないことが多々あります。
面白いでしょう?
農家としては、まずこの「もったいない」を少なくするために、捨て去る箇所があまりないイイ野菜を育てる努力をしていかねばなりません、という点も合わせてお伝えしておきます!
※ちなみにこうした野菜残渣ですが、音吹では山積みして堆肥化させています。工場製品と違い、生命の循環に組み込まれている、という免罪符もありますので、まだ救われますね。