香害という化学物質過敏症のスタッフと一緒に働き、割といろんなことに配慮しながらも、(同じくそこに配慮できる人に)農の現場にぜひ来てほしい!という話。

香害という化学物質過敏症のスタッフと一緒に働き、割といろんなことに配慮しながらも、(同じくそこに配慮できる人に)農の現場にぜひ来てほしい!という話。

スタッフが化学物質過敏症(香害)に悩まされています。雇用する側として、どうしていくべきか、考えています。リンクは、北海道のお菓子屋さんのもの、とてもしっくりきました!

https://sweets-fujii.com/blog/2020/08/post-8272/

以下、私見です。

香害(こうがい)とは、香水・香りつき洗濯洗剤・柔軟剤などの香料に含まれる香り成分に起因し、不快感を感じたり、頭痛やアレルギーなどの症状が誘発され、健康に害を受けることです。(詳しくは検索してね)

おそらく数年のうちに「公害」としてより広く社会的に認知されることになると思いますが、症状の出てない多くの人の理解を得るのはそう簡単ではないのが現状と言えます。

雇用する側として、化学物質過敏症のサイトをいろいろと徘徊しましたし、雇われる側の主張もいろいろと拝見しました。環境改善は話のできる下地を形成するところからがスタートになるかと。その上でどうするか、考えていかないとただ相手を非難するに終わります。

なぜならば過敏症は、自分ではどうすることもできない、他者に動いてもらわないと環境改善に至らない、デリケートな問を多く含むから、です。

(科学的な知見を並べたもの、被害者の立場にたった意見、ではありません。あくまで雇用する側の、勝手な私見です。気を悪くされる方々もおられるかもしれません)

過敏症でない多くの人は、まずそんな症状で苦しんでいる人がいる現状を知るところから。

頭痛や吐き気、その他様々な症状が精神的な問題だけでない、人工的・化学的な何かしらにより引き起こされているケースもあるかもしれない、という視点を得、過敏症の方々は日常生活を送るのが大変なのだと認識する必要があるかと。

被害スタッフは特に香り(人工香料を長く持続させるマイクロカプセル)に反応して発症します。

※例えば、ひとごみがしんどいなどは当然考えられるケースですが、保育園から帰ってきたこどもの、保育士さんに抱っこされた“移り香”で症状が出る。お金や配布プリントなど紙が香ってしんどい。など、間接的な香りでダメージが出ることについてはなかなか想像しがたいことかと。

考え得るあらゆるケース、被害者に寄り添う想像力を鍛えることでリスクヘッジしていく。当事者でない人は、そうした対応をしていかねばなりません。

理解されずに退職に追い込まれる方々、働きたくても働けない方々もたくさんおられる(あるいは学校に通いたくても通えない、などなどいろいろなケースを想像してみてください)のが現状。

本人たちには非がないので、暮らしが送りにくくなる状況はいたたまれないものがあります。

音吹の場合、園主は、

かびんのつまを読んだことがあった。
②妻が軽度の過敏症、だ。
③多様なケースで多様な価値観が同一空間で混在する(これからより強く混在していく)時代において、ビジネス世界をドロップアウト後いろんな人に受け入れられて今がある自分としては、誰かに受け入れられてやっていける場所があることは素晴らしいことだ、そんな場所になりたい、受けた恩を誰かに送らねば、と思ってる。

ことなどから、まだ環境改善することについては前向きなほうだったのでは、と思っています。(それでも全然理解の及んでない部分は多いでしょうし、被害スタッフはしんどい思いをしていることも多いでしょう)

具体的に、現場ではどうしてきたか。

まず前提として農業なので、基本的にはソーシャルディスタンスが保ちやすい職場環境、ようするに過敏症の方の働きやすい環境です。

被害スタッフの症状が軽度な時は、

①スタッフ一人一人と話をして状況を説明、現状共有、そんなわけなので各々出来る範囲で配慮してくださいと動きかける。
②被害者がしんどいと思う対象のスタッフには、軽トラ同乗などを避けてもらう、荷台に載ってもらう(真冬の寒い時期に荷台に載ってくれと相談するのはなかなかデリケートな問題です)

で、対処。

当初はそれで何とかなっていたのかなと思っていましたが、被害スタッフとしては我慢してたところもあった、一番あとから入ったので言い出しにくかった、と症状悪化の相談を受けます。

被害スタッフも状況を見て、我慢してくれていたのでしょう。いよいよ我慢できない状況での改めて、ちょっと無理です…と相談を受けたのでした。

それからは

③香りのするスタッフとより時間かけて話し合い。
④再度状況をチーム皆で共有。
⑤被害スタッフに詳細な状況説明してもらう(耐え得る洗剤のリストなどの情報共有)
⑥香りのするスタッフは被害スタッフと距離をとったり、すれ違ったりする際に道を避けたりのアクション(そんなことを自主的にしてくれていた)
⑦香りのするスタッフは自家用車を仕事時に使用、軽トラをシェアしない(車使用については別途手当を支給)

などなど。スタッフ皆、洗剤などの使用変更検討も含めて少しずつ環境改善に向けて動いている状況です。

さらに、チーム内はもとより、音吹としては、外部からの侵入について気の付く範囲で検討。

たとえば、

①農の現場、リアルを共有したい!としていたが積極的に援農募集することを控えつつある。
②連絡がきたら過敏症についてまず説明し、確認をする。
③肥料を運んできてくれた業者さんの香りが強い場合は、同一空間に運んでもらうと香りがするから、いったん外に置いておいてもらう(その後また運び直す)
④宅配便やスタッフ以外の誰かが作業場に来る際は、気がつく限り作業場内に入れないように外に出て対応する。

確認をして、大丈夫です、そんなに香りのするもの使ってないです、という人でも、そもそも症状のもとはマイクロカプセルという香料を閉じ込めた化学物質なので、香りの強弱だけではない問題もあるようです、いざ来てもらったらアウトだった、こともあります。

そんな場合、

同一空間での仕事はできないとまず判断→作業を中断→被害スタッフには別の場所で作業してもらう段取りを組み直す、などの対応をします。

農業と言えど、配慮すべきところはそこそこある。まあ大変です。

畑のそばで干されている洗濯物がある場合、風向きにも注意して、どうですか、作業は続行できますか?のスタッフへの確認をします。我慢しながら動いてくれていますが、状況によってはその圃場での仕事をやめることも今後は考える必要がありそうです。

多くの人にとって化学物質過敏症は「“まだ”何とかしなければならない問題ではない」ということを認識する

一方で、

大変だ、スタッフのために何とかしたい、といろいろサイトを調べる中で、

「香害さん」(香りを振りまき過敏症の方々に被害を与える“多くの人”)に対する過敏症の方の辛辣な表現がちょこちょこ見られたことについては、ちょっとモヤモヤしたことも事実です。

雇用側、経営者側としては、正直に言うと、仕事に支障をきたすことが多くなるのは否めません。なので経営判断としてシビアな選択をされる職場があることについて、そういうこともあるだろうな…と思うのが本音です。

そんな中、

例えば

「あなたの使ってる洗剤や柔軟剤はわたしたちにとって暴力でしかない、身体に悪いものだ、早く気付きなさい、あなただけでなく家族や子どもにとってもよくないから、やめるべきだ。何でわからないのだ、」と被害意識を全面に押し出して非難された時に、どう思うものでしょうか。

全く症状の出ない人にとって「そんなこと急に言われたって…」というリアクションになるのはまあ一般的だろうなと推測できます。

飲酒運転やたばこは今でこそちょっと煙たがられていますが、ほんの数十年前はそんなの当たり前。その時代を生きてきた人に、同じ空間でたばこ吸うなよ、ポイ捨てすんなよ、と注意したところでまず響かない。農家に除草剤はよくない、やめろ、と言うのも同じですね。縦軸としても横軸としても正義の押しつけは反発を生むしかない。(それでも伝え続ける必要もあると思いますけど)

どれだけ頑張って想像しても当事者でない人は当事者の大変さを理解できない、寄り添え切れないもの。

現状、化学物質過敏症に対する世間の認知度はそういうものだ、とまず“認知”した上で、正義の押しつけでない、共感を得るような伝達の仕方、普段からのコミュニケーションをちゃんとする(ありがとう、ごめんね、大丈夫?)ことで、この人の言葉をちゃんと聞こうとできる、この人なら助けたい。

これが環境構築に至るようやくのスタート地点なのではないかと個人的には思うところです。

被害者なのに、そこまで気を使わなければいけないのか、という意見も目にしました。

本当に、人に何かを伝えたいなら、残念ながら、気を使わなければいけない、のが現状でしょう。

多くの人にとっては、化学物質過敏症は、社会課題だし何とかしなければいけない問題「ではない」のだということをまず認知した上で、どうするか考えていく段階だと思います。今現在はまだ。

(個人的にはそう思っているので、北海道のお菓子屋さんの話は同じ経営者としてとても納得できるし、共感できました)

お互いの立場に共感した上で課題を解決していく、のは何も過敏症に限った話ではないはずです。世の中にはそれぞれの正義が星の数ほど溢れていて押し付け合うもので争いは途切れません。なればこそ取り得るアクションも変わってくる。難しいものですね。

で、最後に伝えたいこと。

としまして、長文になりました。

化学物質過敏症は社会問題、香害は公害になるだろう、とぼくは思っています。ただその伝え方については、現代の多く人にとって他人事である今、気をつけるべきだとも思ってる。

だが、そんな場合か!というくらい追い込まれている人たちがたくさんいる。

まず知ってほしい。

守りながら攻める!じゃないけど、(本当にしんどい被害スタッフの立場にたてているのか分からないけど)

なればこそ、

今後も農の現場を知らない人に農の現場に触れてもらいたいと思っているのですが、以上のように現在は、来たい!と言ってくれる人にまぁまぁなフィルターをかけています。

それでも!!!来てほしい!!!!

農の現場を見てほしい!

そして化学物質過敏症についても知ってほしい!

とは激しく思っているので、

以上を共感して、香害、化学物質過敏症にちゃんと配慮をした上で農や土や食や何かに触れたい人、ぜひご連絡くださいな。

お待ちしてまーすよー!



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