webマガジンや動画の取材が相次いでいます。

11月~12月にかけては大原野菜の最盛期。

盆地にまとわりつく湿度が露地の根菜にみずみずしさを与えてくれ、加えて程良い寒さのおかげで甘味も増していきます。

行楽シーズンの名残をそのままに、師走特有の、購買意欲が高まる雰囲気が年末まで引っ張られ続け盛り上がる季節です。

この時期は取材もやたらと増えます。ありがたいことです。

★先日、【久松農園】の大原ツアーに同行してくださった、maru communicate代表、農業・食のコミュニケイター紀平真理子さんが書いてくださった、AGRIPICK掲載の記事【世界の音がある朝市・マーケット|おしゃれじゃないサスティナブル日記No.13】。世界のマーケットと比較もしてくださっていて興味深いです。

★大学生のリアルなライフスタイルwebマガジン、コトカレの取材記事、【#京都里山くらし】。大学生の方からいろいろとインタビューを受けながら…。こちらは地域おこし協力隊の京都市左北山間地域ver.のかがやき隊のセイゴくんコーディネイトでお話を。大学生、今年はほんとに残念な一年でしたが、腐らずに楽しんでいただきたいものです。

★北欧ヴィンテージ家具やインテリア通販ショップキラリオインテリアは朝市の動画をPV風に撮影してくださいました。こちらはまたそのうち朝市サイトなどやSNSでもアップしたいと思いますが、まずは音吹サイトで公開。朝市の雰囲気が何となく伝わるのではないでしょうか。

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そんなこんなで、日頃の畑仕事、事務仕事、に加えて来週も二件ほど動画撮影が控えており、忙しく過ごしています。

お日様がさす時間帯は限られているだけに、よりコンパクトに、効率的に、素早く動く方法を模索せねば!がんばろ。

久松農園がGg’sアテンドで大原朝市と大原農家ツアーに来てくれたお話。

10~11月中旬にかけて、極めてドタバタと、だが濃密に動いておりました。得た知見を頭の中だけに置いておくと、だいたいそのまま消え去ってしまいがち。整理して咀嚼してインプットしてかないと。

その濃密な動きの中、ハイライトが昨日。

15日(日)、【久松農園】の久松達央さんやスタッフやサポーターの皆さんが、【Gg’s】角谷さんのアテンドにて大原にご来訪くださいました!

朝市の時間帯からガッツリと大原の農に触れていただくという、何とも贅沢な、ありがたい企画!

photo by Mariko Kihira

久松達央さんと言えば、【キレイゴトぬきの農業論】【小さくて強い農業をつくる】で全国農業界隈で超有名な方です。

音吹園主にとっては、著書を拝読してから農に対する心構えがガラリと変わったほどで、心の師匠的立ち位置に君臨するスーパースターのお一人!

【Gg’s】角谷さんから、大原に来られます!とお話を聞かせてもらってからは、ウキウキと同時に、恐れ多さというか申し訳なさというか、畑に来てもらったところで何も見せられるものねーよ…どうしよう…とオタオタしておりました。

が、

そこはスターの、スターらしからぬ探求心?寛大さ?、そして【Gg’s】角谷さんの、人と人をつなぐ力と言いますか、おかげさまで事前にオンラインでお話させてもらうという、これ多分全国の農家さんには垂涎ものの、有り得ない機会までいただき、不安も払拭。

さらに、オンライン会議だけでなく、何と野菜セットまで事前に送っていただきました!

段ボールは当然のごとくにオリジナルのもの。

―そう言えば、うちもロゴマーク作る時、ロゴマークそのものの意味、いろいろな農園のロゴの由来を調べたくっていた頃、久松農園のロゴの記事もどこかで読みましたね。調べてみてください―

同梱されていたのは久松農園のパンフレットや野菜暦、野菜の保存方法やレシピなど。それらすべて食べる人目線なんですよね。これ忘れがちだけどとても大切なことやと思いました。

―農家ってマニアックな分野につっこみ独りよがりの職人的志向に陥りがちなので…。着いて来れない奴は着いて来なくていい!みたいな―

そして野菜。

箱から出して、音吹スタッフでセット内容を様々な角度から検証。ボードンパックは何号を使ってるね、土の質がこれなら土付きでいけそう、パッキングはこんな感じなんだ、といろいろと。

大原との比較をしながら、非常に楽しい時間。

もちろん野菜は絶品です。美味しい。どの野菜もエグ味がない。おそらく高技術だからこそ成せる再現性の高さで、毎年大きな差がない味でお届けできているのではないだろうかと想像。

狙って野菜を育てる、って実はめちゃくちゃハードルが高い。口ではいろいろ言ってるけど、野菜見たら、あーうんうん、そうねそうなるよね…って農家さんが多い中、野菜そのもので納得させるって…いやーレベル差を実感しました。

音吹では一エリアの圃場見学と作業場見学を。

圃場では、土を掘って、土質を見てもらったり、野菜を実食してもらえました。ちょっと見られただけで驚くほどのアドバイスや情報が…。引き出しの多さがすごかった。

photo by Mariko Kihira

作業場には、音吹所有の農機や設備、経営状況データなど諸々を資料として置いておいたので、それを見ながらアドバイス頂戴したり、農具の説明を受けたり。

photo by Mariko Kihira

前述しましたが、著書はキレッキレの文章なので、オンラインでお話する前までは、実は相当ビビっておったのですが(笑)―やべーガツガツつっこまれたら立ち直れねーぞ、と―と全くそんなことはない。

あー、この方の周囲はそら人集まるわ、という感じでビッグネーム感をさらけ出さずに人と接しておられて、また膨大な経験に裏打ちされた知識をとてもわかりやすく言語化して、もったいぶらずにバッシバシ伝えてくださるので、素人でも接しやすい。

音吹園主の今の課題のうち、抽象的な課題のひとつとして人間力アップ!を掲げているのですが、そうねこんな立ち居振る舞い必要やね…という。そんなところまで本当に勉強になりました!

ここで得た知見をちゃんと落とし込んで、日々の農作業と野菜に還元できるようにしていきます。

photo by Mariko Kihira

最後に、偉そうに圃場と野菜の説明をする園主。

あと、今回は圃場ガイドとして大原農家仲間や随行者として京北から【okulu】吉田さん、【あらい農園】新井くん他、も。いい機会でした!

今後に活かせますように!

獣害と向き合う。

朝晩はもう肌寒い大原です。毎週日曜日早朝開催の大原ふれあい朝市ではいよいよ焚火が始まりました。

早朝、霜が降りるのももうすぐですね。

大原は盆地です。山がとても近い距離にあります。日本全国どこでもそうでしょうが、山際の農地は、深刻な、ある問題に直面しています。

さて、それは…

鳥獣害、です。

鹿、猪、猿をはじめ、アライグマ、ハクビシン、カラスと農作物に被害をもたらす有害獣は数多くおります。

大原でも、ぼくが就農した12年前はそうでもなかったのですが、獣のプレッシャーが年々高まってきています。

特にひどいのは鹿です。

鹿は起きてる間中ずっと何か食べている反芻動物で、被害の範囲も広いです。また食べる植物の種類も豊富で、山の中は地肌むき出し、木々の新芽は育つ前に食べられてしまう状況がそこかしこで見られます。

90年代から徐々に鹿の数は増えて、現況、個人農家ではなかなか手に負えないレベルにまで至っています。

様々な要因が鹿の増加を招いているようですが、どうやら

①山際での人間活動の減少(農村に農家がいない、あるいはいても山に入らない)

②猟師が少ない

といった、獣と人の境界線がどんどん浸食されてきていることが何よりの要因のようですね。猟師さんが仰るには鹿はずいぶん長い期間、保護獣としてみなされてきたため狩猟圧を掛けにくかったため増えた、とも。

そもそも100年も以前は、季節を感じて土とともに暮らす農村暮らしが基本。その時代の冬場は雪も降って、春夏秋に比べて、やれることが少ない。

そんな冬場の、男たちの娯楽、実益を兼ねた娯楽として狩猟は日常的だったようで、おかげさまで、それはそれは山の獣は現在では考えられないほど少なかったようですよ。

鹿については高槻成紀の【シカ問題を考える】が読みやすかったです。

さて、

音吹でも年々ダメージのある圃場が増えてきています。

音吹の獣害柵環境は、

①電柵
②ワイヤーメッシュ横置き(高さ1m)
③ワイヤーメッシュ横置き(高さ1m)+獣用ネット(高さ1.5m)

と段階的に変化してきています。

現在は③の状態ですが、ネットは降雪や風で倒されやすく、柵修復コストが毎年かかります。

それでもこれまではある程度軽微なダメージで済んでいましたが、

今年はダメですね。

虎の子、レタスにも、まさに今朝早朝、いよいよ結構な範囲で食害が見られ始めて、さてどうしたものか、と。

そろそろ
④ワイヤーメッシュ縦置き(高さ2m)

にしてしまうことを検討しています。

物理防御はコストがかかります。資材費だけでなく、設置するための作業日数もかかるため、当然人件費もかさみます。そこまでして守っても、土地を借りてる身としては、売却するから返して、と言われる可能性もゼロではないので、何とも踏ん切りの付きにくい投資ではありますね。

九州の平場で修行していた頃は獣害なんて考えたことなかったので、山に近い里山での営農の厳しさを毎年思い知らされます。

ちなみに、農水省の統計(H29年)では
日本の耕作面積約400万haうち、獣害被害のあった耕地面積5.3万haだそうです。

なんと、そんなに微々たるものなのですね!

オレなぜ山際で農業やってるんだろう(笑)

そりゃ獣対策に投下できる国家予算は限定されますよね。

獣が与える被害は、直接的には農林業者だけかもしれませんが、間接的には回り巡って都市住民にも影響を与えるものです。

鹿や猪に対する感情として、ぼくは愛をもって接することが、もう全くできず、ダムに落ちた猪がかわいそうだと世論が高まり救出し山に帰すというニュースをいつぞや見た時に、本当におめでたいことだな…と呆れた覚えがあります。

かわいそう、助けてあげて、彼らは悪くない、悪いのは人間、と都市住民。

なぜわざわざ野にかえすのだ、と農家。

この溝を埋めるには乗り越えることがいっぱいありそうですが、見えないものにはフタをし続けて便利な生活を続ける現代において、そもそも埋まり切るものなのか。

現代社会で生きるには、見るものをいろいろと選択していかないとダメなんでしょうか。

いろいろと考えさせられます。

が、だ!

まずはこの冬の稼ぎがなくなって給料払えなくなるやんけ…問題を何とかせねば!!

※南丹の369商店さんが最近FBにポストした内容。除草剤についての問題。これもまたある一面では同じような問題をはらんでいますね。

10月中旬以降は気が抜けます。

先日、最後のフリルレタスを植え切りました。

これから年末までに収穫し続けていきます。クリスマス頃はレタス需要ありますからね。たくさん食べてくださいね。畑は秋冬の仕様へとすっかり様変わりしてきています。植付け作業もあらかた終わり、ホッと胸を撫で下ろしています。

毎年のことながら、春先から10月中旬頃までは気持ちに余裕がありません。

種まき、苗植えをはじめ農作業には適切なタイミングがあります。適切なタイミングは人間の都合で整えられるものもあれば、そうでない場合もあります。と言うか、そうでない場合が圧倒的に多いです。

まずは農暦を考えてスケジューリングしますが、日程が近づいてくるとより詳細な情報を集めて一週間単位で綿密な段取りを組みます。

―詳細な情報とは、例えば、週間天気予報はかかしませんし、スタッフの出勤予定もかなり大きな検討材料となります。圃場の準備の出来具合ももちろんそうですし、苗の生育状況もそうです。あと、自身の予定や体調も含め、いきあたりばったりの仕事はろくな成果を生みませんので、オンシーズンの日中はとにかく野菜ファーストな動きになってしまいがちです―

野菜も雑草も含めて、植物の動きが活発なオンシーズンは、少なくとも音吹は人間都合では動かないので、そんな動きを10月中旬まで繰り返していると、とても疲れてしまいます。秋冬の作付けが落ち着く頃には気が抜けたようになります。

それだけぶっこんだおかげで、納得いく生育に持っていけます。

―持っていけない場合も多々あります今年の春夏はなかなかに厳しかったです。長梅雨と日照り。予定していた作物の出来がよくなくて本当にがっくりきました。露地栽培では、気候が安定しない最近においてこの品目は今後もう計算して作付けできないよな…と考えるようになってもきています―

ともあれ、こんな具合に、精根尽きはてるまでぶっこんだオンシーズンを過ごしていると、その期間中はなかなか細かなことを振り返る余裕がありません。

今年は真夏の日照りでイネ科雑草ばっかりバカみたいに伸び続けたから草刈りの時間、回数めちゃくちゃかかってしまったわ…と思っていたのですが、実際のところは、草刈りにかけた総労働時間は、

2019年…113時間
2020年…94時間

と昨年のほうがかかってしまっていたようです。

―毎日、作業内容をエクセルに残しています。ベタデータとしてはざっくりとしているものの読み込めばかなりいろいろ面白い結果を紐とけそうなのですが、いかんせんそのデータを解析して次に繋げることをあまりしていないので、意味がないですね―

肌感だけではわからないことがたくさんあります。

前回の日記でも書きましたが、やることはしっかりやりつつも、省力化・合理化を進めて時間を確保。インプットする余白を持つ!そしてデータを次に活かすことを考える!

課題です。

…もうかれこれ、ずーっと同じ課題を抱いている気もしますけど(笑)

あ、先日植えたニンニク、発芽してきています。来年も良いニンニクが採れますように!!

野菜の被害と冬作への切り替え、大原農業の魅力。

梅雨。

これだけの長雨、日照不足は就農して以来はじめてです。

当然のように野菜への被害はなかなかのものです。バターナッツ、コリンキーは疫病、ピーマンや伏見とうがらしは尻腐れや灰カビにて全滅。ミニトマトは割れが激しいし、オクラはまだ収穫まで至っていません。

全て降雨、多湿状況に起因する被害。

特にバターナッツはここ数年出来が良かったこともあり、植付け数増やしていたので、圃場の中で白カビに覆われた果実を山ほど片づける作業は凹みます。 投下資金の回収まったく叶わず、 生産性のない、ただただ疲弊するだけ敗戦処理。がっかり。

少しでも回収せねば!!と中途半端に生存株を残して収穫を続ける。時間をかけて歩止まり悪いものを選別しながらパッキングする。そうすると翌日パックの中で蒸れて腐れていた…なんてことが多々起こります。

そんな状況なので、今は収穫できる夏野菜が激減しています。ストックしているじゃがいも、いいタイミングで収穫できたコリンキー(毎日少しずつ悪いカビがはええてくるものもあるけど)、ニンニクなどの出荷が増えています。例年、若干の端境期、秋冬野菜の作付け期である8~10月に出荷しているこれらストックものの前倒し出荷、秋が不安ですけど…仕方ないですね。

なぜここまでひどい結果が生じたのか省みることをいつもよりも丁寧にしています。そして翌年以降、考え得る対策も今のうちに知見としてデータにストックしていきます。例年ならドタバタと夏野菜の収穫を続け、同時並行して秋冬野菜の作付け作業も進めていくのでゆっくり振り返る暇がありません。

モノは考えよう、なのかも。

悲観、諦観を通り越して、むしろスッキリしてきます。さっさと秋冬作へと頭を切り替えて動けます。悲しいことばかりでもないですね。

何よりありがたいのは、寄り添ってくれる人がいることです。先日、全滅したバターナッツを片づける下準備として圃場周囲の草刈りをしていた時のこと。20年も大原に通い、野菜を使い続けてくれている古参の料理人Ryoriya Stephan Pantelのステファンさんが寄ってきます。たまに音吹の畑に生えているハーブや野草を採ってお店で出してくれています。

「じゅんちゃん(園主のこと)…これほんとひどいね…」と全滅したバターナッツを見てくれていたのでしょう、たまたまぼくの姿が見えたのでわざわざ声掛けに来てくださいまして、労いの言葉、大原の農産物を扱う料理人としてできること、農家との関係性、さらには異業種とは言え経営者としてどう動くべきか、といろいろとお話を。

彼は、お客さんが雨嫌だねーと話してくると、「たしかに嫌ですね。だけど農家にとっては降るべき時に降らないと田んぼの水がなくなるし、野菜も適量は必要なのですよ」と、生産現場のリアルをしっかりと伝えている、と。「…今回は降り過ぎだけど…」ともちろんしめてくれましたが。

なんとありがたい。この距離感こそが大原で農業に携わっていて何よりも魅力的な部分。

非農家から農家になった身としては、農家のリアルは消費者のリアルではないし、消費者の求めてる声に農家は耳を傾けていないのでは?と思うことが多々あります。

モチベーションの源泉のひとつが多くの農家にとって販売してお金を稼ぐことであることを否定するつもりは微塵もありませんが、とは言え、この距離感がお互いのことを思いやって、お互いの考えを理解しようとする第一歩だと思いますし、いやそんな小難しいことは抜きにして、そもそもチヤホヤとかまってもらえると単純に嬉しいものです。

何を目的としてこの大原で農にかかわっているのか、大切にしたいことは何か、こんな人たちの姿を思いながら畑ができるのは何よりもやる気につながっているじゃないか、と、よりはっきりと見えてきます。

梅雨ダメージはたしかに大きい。ですが、それと同じくらい、再確認できたものも大きい。経営的にはしんどい一年になりそうですが、必ずやこれを次に繋いでいかねば!と思えた2020年7月豪雨でした。

…まだ今も降ってるけどな、雨な。

Ryoriya Stephan Pantel http://www.stephanpantel.com/