獣害と向き合う。

朝晩はもう肌寒い大原です。毎週日曜日早朝開催の大原ふれあい朝市ではいよいよ焚火が始まりました。

早朝、霜が降りるのももうすぐですね。

大原は盆地です。山がとても近い距離にあります。日本全国どこでもそうでしょうが、山際の農地は、深刻な、ある問題に直面しています。

さて、それは…

鳥獣害、です。

鹿、猪、猿をはじめ、アライグマ、ハクビシン、カラスと農作物に被害をもたらす有害獣は数多くおります。

大原でも、ぼくが就農した12年前はそうでもなかったのですが、獣のプレッシャーが年々高まってきています。

特にひどいのは鹿です。

鹿は起きてる間中ずっと何か食べている反芻動物で、被害の範囲も広いです。また食べる植物の種類も豊富で、山の中は地肌むき出し、木々の新芽は育つ前に食べられてしまう状況がそこかしこで見られます。

90年代から徐々に鹿の数は増えて、現況、個人農家ではなかなか手に負えないレベルにまで至っています。

様々な要因が鹿の増加を招いているようですが、どうやら

①山際での人間活動の減少(農村に農家がいない、あるいはいても山に入らない)

②猟師が少ない

といった、獣と人の境界線がどんどん浸食されてきていることが何よりの要因のようですね。猟師さんが仰るには鹿はずいぶん長い期間、保護獣としてみなされてきたため狩猟圧を掛けにくかったため増えた、とも。

そもそも100年も以前は、季節を感じて土とともに暮らす農村暮らしが基本。その時代の冬場は雪も降って、春夏秋に比べて、やれることが少ない。

そんな冬場の、男たちの娯楽、実益を兼ねた娯楽として狩猟は日常的だったようで、おかげさまで、それはそれは山の獣は現在では考えられないほど少なかったようですよ。

鹿については高槻成紀の【シカ問題を考える】が読みやすかったです。

さて、

音吹でも年々ダメージのある圃場が増えてきています。

音吹の獣害柵環境は、

①電柵
②ワイヤーメッシュ横置き(高さ1m)
③ワイヤーメッシュ横置き(高さ1m)+獣用ネット(高さ1.5m)

と段階的に変化してきています。

現在は③の状態ですが、ネットは降雪や風で倒されやすく、柵修復コストが毎年かかります。

それでもこれまではある程度軽微なダメージで済んでいましたが、

今年はダメですね。

虎の子、レタスにも、まさに今朝早朝、いよいよ結構な範囲で食害が見られ始めて、さてどうしたものか、と。

そろそろ
④ワイヤーメッシュ縦置き(高さ2m)

にしてしまうことを検討しています。

物理防御はコストがかかります。資材費だけでなく、設置するための作業日数もかかるため、当然人件費もかさみます。そこまでして守っても、土地を借りてる身としては、売却するから返して、と言われる可能性もゼロではないので、何とも踏ん切りの付きにくい投資ではありますね。

九州の平場で修行していた頃は獣害なんて考えたことなかったので、山に近い里山での営農の厳しさを毎年思い知らされます。

ちなみに、農水省の統計(H29年)では
日本の耕作面積約400万haうち、獣害被害のあった耕地面積5.3万haだそうです。

なんと、そんなに微々たるものなのですね!

オレなぜ山際で農業やってるんだろう(笑)

そりゃ獣対策に投下できる国家予算は限定されますよね。

獣が与える被害は、直接的には農林業者だけかもしれませんが、間接的には回り巡って都市住民にも影響を与えるものです。

鹿や猪に対する感情として、ぼくは愛をもって接することが、もう全くできず、ダムに落ちた猪がかわいそうだと世論が高まり救出し山に帰すというニュースをいつぞや見た時に、本当におめでたいことだな…と呆れた覚えがあります。

かわいそう、助けてあげて、彼らは悪くない、悪いのは人間、と都市住民。

なぜわざわざ野にかえすのだ、と農家。

この溝を埋めるには乗り越えることがいっぱいありそうですが、見えないものにはフタをし続けて便利な生活を続ける現代において、そもそも埋まり切るものなのか。

現代社会で生きるには、見るものをいろいろと選択していかないとダメなんでしょうか。

いろいろと考えさせられます。

が、だ!

まずはこの冬の稼ぎがなくなって給料払えなくなるやんけ…問題を何とかせねば!!

※南丹の369商店さんが最近FBにポストした内容。除草剤についての問題。これもまたある一面では同じような問題をはらんでいますね。