コンセプト

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音吹畑は、農薬、化成肥料を使用しません。有機JASに準拠した栽培方法を採用しています。

※2015年春現在、有機JAS認証は受けておりません。あくまで栽培の方法として採用しているにとどまります。

有機JASには天然由来の農薬やフェロモン誘引材といった適合農薬が50種類ほどあります。音吹畑はそうした適合農薬についても一切使用しません。

ただし、慣行農業(農薬や化成肥料を使用するいわゆる一般的な農業)を全否定する立場にはたっておりません。

有機農業は慣行農業に比較すると多少は環境に負荷をかけないのかもしれませんが、そもそも農業そのものが“不自然な営み”です。どんな農法であろうとも、この営みそのものが環境破壊の一因です(それは自然農も同じ)。農業は、食糧を安定して供給するという役割がまずありきの産業です。同じ農の現場にいる人間として、プロとして栽培技術を磨きあげ、現代日本の食卓を支える慣行農家さんには敬意の念も持っています。(誤解を招きそうですが、全肯定もしていません。そもそも農薬や化成肥料を使用しないで同じ量、同じ質の野菜が供給できるならば、誰も文句はないはずですから)

では、そもそもなぜ、音吹は有機農業をするのか、ですが…農薬・化成肥料を使用しないで野菜が育つなら、それにこしたことはないからです。

農薬・化成肥料を使用しないで野菜を育てるには、肥えた土をまずつくる必要があります。その生きた土にはミミズや微生物が住まい、彼らが適度に働くための餌として肥料を与えます。それは、「野菜をつくる」のではなく、「野菜をつくる環境をつくる」という視点にいきつきます。(余談ですが、そうした考えから、野菜をつくる、と表現しません、つくり育てるのは土です)さらに広げると、その環境を守り、育て、さらに次世代以降につなぐという思いがあります。一朝一夕で土づくりはできません。長い年月をかけて育てられた土壌の、ただこのわずかな時間に関わるに過ぎない。先人から受け継がれたそのバトンを少しでも良い形でつなげようという思いです。私たちには有機農業のそうした思いがしっくりと腑に落ちました。

農業を始めるにあたって、様々な先達の意見を聞き、現場を体験しましたが、初心は変わっておりません。頑なだった当初に比べて、受け入れられる考えも増えてはきましたが、有機農業以外の農スタイルでしっくりくるものには現在のところ巡り合っておりません。

 

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農薬を使用しないでいると、畑に多様な生き物があふれてきます。そんな畑にいると、言葉にできない楽しさがこみ上げてきます。音吹畑にとっての畑は、ただ商品作物を産出する場所にとどまりません。生き物、これは草木も含めそうですが、多様な生き物にあふれた畑の魅力、畑にいるからこそ気づける発見の数々、一度体感するとなかなかにやめられないのです。

例えば除草剤を使用せずに、草刈り機を使用する場合。

あるタイミングで草刈りをすると、その次にまた草は当然のことながら生えてきます。ですが、そのタイミングによって、次に生えてくる草の種類が違うことがあります。そしてその生えてくる草の種類によって、寄ってくる虫の種類も違ってきます。些細なことですし、およそ野菜を売るにとどまる職業であればどうだっていいことです。

ですが、そのどうだっていいことを重ねるうちに、見えてくるものがあるのです。

多様な生き物にあふれた畑は、農薬や化成肥料を使用しない有機農業(ないしは自然農)の畑でこその光景です。野菜をつくるのではなく、土をつくる農業であるがゆえに見られる光景だと言えます。様々な魅力が有機農業には内包されておりますが、一言でおさめると、ここに尽きると思います。

 

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有機農産物の市場における優位性という視点ももちろん持っています。

わたしたちは農に関心を持ってから、どのような形で農と関わっていけるのかについてとても深くまで悩みました。まず農業では食べていけないのではないかと考えました。世間のイメージがそうでしたし、一般的な日本人として生活してきたわたしたちにはそのイメージからの脱却が難しくありました。

様々な農家さんを見学する中で、お金はネックのひとつとなっていきました。事業として農業を営む方法、お金がまずありきの考えを取り除きコストを抑えて生きていく方法。わたしたちは多くの関わり方の中から、事業として有機農業を営む方法をチョイスしました。

それはなぜか。

わたしには、わたしのような人間に考えをバチンと変えさせるほどのインパクトを与える有機野菜を届けたい、しかもできるだけたくさんの人に届けたい、という思いが、農を志した草創期から芽生えておりました。そのためには自給自足や自然農では信念とずれていたのです。もちろん、そうした生き方に進むにはまだまだ怖さがあったというのもひとつですが。

そして事業としての有機農業を選びました。

事業を継続させるには、わたしたちが営む農業の優位性を一歩下がって見ることはとても大切なことでした。新規就農の私たちが慣行農法で野菜を育て売っていたら、おそらく今よりもっと苦労していたはずです。レベルの低い野菜を並べていても、農薬や化成肥料を使用していないというだけでひとつのブランドが成立します。良かれ悪かれ、有機農業・有機野菜のイメージは確立されたものがあります。(そこには信仰的な印象もあるので賛否両論です)

そこに甘えているばかりでは何も進まないと考えていますが、ずいぶん助けられましたし、今もまだ音吹は助けられています。

 

311

 

311以降、それ以前よりももっと広がる安心・安全な食材を求める人々は増えておりますが、その思いに少しでも応えられるように、環境に配慮した農業を続けることをより意識するようになりました。

特に小さなお子様のいるおかあさんの声は、同じように息子を抱える音吹にとって無視できないものです。私たちは安心・安全をことさらに強調するつもりはありません。また何が安心で安全なのかは人それぞれです。私たちの野菜は、より高いレベルでの安心・安全を求める人々には手にとってもらえないかもしれません。それでも私たちの栽培基準の野菜を求める人たちは決して少なくはないと考えます。そうした声がある限りこのスタイルの農業を続けたいと思っています。

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以上、おおまかに4点から音吹は今後も有機農業を継続していきます。


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